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里山・里海を22世紀へ

アグリ部門 上條 奏

実現したい世界・目標

私が作り出したい未来は里山を22世紀に届ける未来です。この想いを持ったきっかけは長野県の開田高原に行ったことです。開田高原は本州唯一の在来馬である木曽馬の里です。そこには夏に草場の草を刈り、刈った草を秋に草束を作って乾燥させて、できた干草を冬に木曽馬の餌や肥料の原料として活用し、その肥料を春の時期に田畑にまくという四季を通じたサイクルがあります。また、草場の管理方法として野焼きが行われ、生物多様性が高い草場が維持されています。このシステムができた背景には標高1000m以上の高地にあり過酷で作物などを育てにくい環境があります。そのため開田高原に住んでいた人たちは馬を育て、売ることで現金収入を得たり馬の糞尿から肥料を作るなど馬を活用してその地で生きてきたそうです。ここでその地に当たり前にある動物や草場・森林などの自然は先人たちがその地の風土に合わせて形成した地域の財産だと感じました。私はこのようなものを里山だと考えています。そして、里山は各地にあり、その地の風土に合わせて先人たちが形成した地域の財産です。しかし、里山は過疎化や生活スタイルの変化など社会の変化によって壊れ始めています。里山を守ることは里山の自然やその周辺で紡がれてきた文化を未来に残すことだと考えます。私が生きる21世紀で里山を護り、22世紀に里山を届けて未来に各地の素晴らしい自然や文化を届けたいです。

 

これまで取り組んできた研究・経歴

地域づくりの活動と研究に取り組んできました。地域づくりで特に力を入れたのが「セルフまちあるき」という街歩きのコースを作るイベントの企画・開催です。参加者たちがグループで街を歩き、見つけた良さをコースにすることで地域の魅力を発見できるのではないかと考え開催しました。また、このイベントで参加者が地域を見る目がどのように変化したか調べて、AITサイエンス大賞で発表し優秀賞を受賞しました。研究活動では地域づくりの活動をしている中で、里山に対して今までとは異なる科学というアプローチの必要性を感じ、宇都宮大学iP-Uの才能育成プラン生として「耕作放棄が畑地土壌の窒素供給速度に及ぼす影響」というテーマで研究に取り組みました。研究の成果として耕作放棄によって窒素の供給量が回復されている可能性があることを示唆でき、日本土壌肥料学会高校生による研究発表会で最優秀オンラインポスター賞を受賞しました。

 

今後取り組む研究・ADvance Labで達成したいこと

取り組んでいきたい研究は里山など半自然の土壌についての研究です。今後、過疎化が進み、管理に関わる人が少なくなる里山などの半自然をフィールドとして管理の変化が土壌にどのような変化をもたらすのかを調べたいと考えています。この研究を通して過疎化が進む里山などにおいて土壌の変化を予測し、里山の管理がより効率的にできる環境を作っていきたいです。ADvance Labで達成したいことは研究と現場の距離を近くすることです。自分自身、地域づくりから研究の世界に飛び込んでみて研究と地域など現場の距離がとても遠いと感じています。ADvance Labでの活動を通して自分が感じた研究と現場の距離が遠いという課題を少しでも解決したいです。