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配列の挿入・欠損に頑健な説明性の高いHopfield Networkの開発

AI・数理部門 内藤煌瑛

実現したい世界・目標

 近年、AIを用いた生物データ分析は急速に発展し、データ駆動型のアプローチで生命の複雑性に挑む研究が次々と生まれています。しかし、現状の多くは状態の予測に留まっており、背後にある生物学的な理論やメカニズムがなおざりにされがちです。私はこの課題を乗り越え、現象の背後に潜む理論を置き去りにしない、ハードとソフトの垣根を越えた新しい分析技術を開発したいと考えています。単なる予測精度を追求するだけでなく、元来の理学が持つ説明性をしっかりと担保しながら分析を行える、真に理解を伴う新しい生物データ分析のあり方を実現することが私の目標です。

 

これまで取り組んできた研究

 これまで複数の研究に取り組んできましたが、大学入学直前期は特に“二枚貝におけるウイルス感染動態の数理モデリング”に注力しました。二枚貝へのウイルス感染は、ウイルスの直接的な感染ではなく、餌となる植物プランクトンを媒介(ベクター)とする経路が主に考えられてきました。私はこの経路がアウトブレイクの支配的要因となるケースを想定し、プランクトンとウイルスの付着関係を定式化しました。これにより、“海水中のプランクトン濃度をどの程度低減すれば感染リスクを抑制できるか”を定量的に予測するモデルを開発しました。

 

今後取り組む研究・ADvance Labで達成したいこと

 ADvance Labでは、これまでのウイルスや生物学への探求心を軸に、生命現象の解明に直結する次世代AIモデルの開発に挑みます。具体的には“背景知識の事前学習が可能”かつ“配列の挿入・欠失に頑健”なModern Hopfield Network(MHN)の構築を目指します。MHNは、2024年ノーベル物理学賞の対象となったモデルの拡張版であり、現在のLLMの基盤であるTransformerと同等の処理能力を持つ強力な数理モデルです。このMHNに生物学的なドメイン知識を組み込み、情報科学と生命科学を融合させた革新的なアーキテクチャを創出することが私の今の目標です。