INTERVIEW

共感でつなぐ食の未来

ADvance Lab ものづくり部門 笠井凜心

社会課題に関心を持ったことがきっかけで,現在は「幸せな食」の実現を目指して挑戦を続ける高校1年生の笠井凜心さん。
中学時代に踏み出した一歩からどのように自分の世界を広げてきたのか,そしてその先に描いている未来について聞きました。

行動することで生まれた新たな挑戦
中学1年生の夏,YouTubeでたまたま見つけたエマ・ワトソンさんのジェンダー平等についてのスピーチに心を動かされたことがきっかけで,「学校外でも何か行動したい」と思うようになりました。自分に何ができるかわからないままネットで調べてみると,社会課題解決に取り組む学生団体を見つけました。そこには同じ志を持ち,多様な考え方を持つ人たちとの出会いがあり,自分の視野も,行動の幅も広くなったことを実感。学生団体での活動経験を通じて「自分にもできることがある」という自信が芽生え,新たな挑戦の扉を開くことができました。

挑戦の先に広がる未来
中学2年生で参加した「創造性の育成塾」が印象的でした。ここでは,ノーベル賞級の科学者か
ら研究内容や考え方を学ぶことができました。講義では大島まり先生の「工学は科学と社会の接点だ」という言葉がとても印象に残っています。それから,ものづくりを通して社会に貢献するという考えが生まれ,工学に興味を持つようになりました。しかし,何をしたらよいかもわからず,手探りの状態が続きました。そんななか,塾で ADvance Labと出会い,応募を決めました。多様な研究に取り組む同世代と議論を重ねていくうちに,自分だけの研究テーマを見つける方法がわかってきました。自分の興味を深掘りし続けることの大切さに気づいたのです。そして興味は考えているだけでは見つからず,行動や出会い,経験を重ねることではじめてかたちになっていくのだと感じました。

興味を追求し,ビジョンを描く
地元のこども食堂でボランティアを始め,生産者や食品メーカーと話す機会があり,食の課題や解決に取り組む側の存在を知りました。私たちは,からだにも環境にも優しい和食のよさを忘れ,食べ物に感謝をせず無駄にすることがあります。先人から教えられてきた食べ物を粗末にしないという考えを取り戻したいのです。私は「幸せな食」を実現するために,食べ物が食卓に届くまでの過程にかかわるすべての人々や自然環境,文化が幸せといえる状態をつくりたいと考えています。そのために立ち上げた「ユリフード」では,学生とサステナブルな食の選択肢を提供する側をつなぐ活動を行いました。ここでは,ひとりでは成し遂とげられない活動でも,仲間を募れば実現可能になることを学びました。これからも仲間とともに幸せな食を実現していきたいです。

(文・谷垣 聡音)