オジギソウの神秘に魅せられて
ADvance Lab AI・数理部門 小松和滉
「研究にしたいけど,どうやって始めればいいの?」
そんな疑問を持つ中高生に紹介したいのが,長野県の高校1年生、小松和滉さんの挑戦です。5歳の頃から植物に興味を抱き,その好きを究めた現在は「オジギソウの刺激に対する順応機能」と いうテーマで研究を続けています。小松さんの歩みや研究への思いを聴きました。
研究のきっかけは何だったのですか?
きっかけは,5歳の頃に家の近くで見つけた「ねむの木」です。昼間に葉を開いて夜になると閉じるその動きが動物みたいで,とてもふしぎに思いました。当時は「どうしてだろう?」と感じるだけで,調べ方もわからず,ただ眺めているだけでした。
本格的に植物研究を始めたのは中学1年生のときです。「ねむの木」は大きすぎて研究には向かないと感じたので,同じマメ科でコンパクトな 「オジギソウ」を育てることにしました。現在は,刺激にどうやって適応するのか,その順応機能をテーマに家で実験を続けています。振動に弱い特性から,家の中で落ち着いた環境をつくって研究していますが,このテーマに取り組むのが本当に楽しいです。
どうやって研究を進めてきたのですか?
最初は研究のやり方がまったくわからず,迷うことが多かったです。ただ,通っていた中学校がスーパーサイエンスハイスクール指定校で,夏休みに「1人1研究」という課題がありました。その 課題をきっかけに,オジギソウの就眠運動について調べ始めたのが最初の一歩です。初めは受動的でしたが,調べるうちにどんどんおもしろくなっていきました。そして,外部のプログラムや同じように研究をしている中高生との出会いが刺激となりました。同年代がどんな研究をしているかを知ると,「こうやって進めればいいのか」と具体的な道筋が見えてくるんです。外部とのディスカッションは,研究を進めるうえで大事な機会だと感じています。
これからの夢や目標を教えてください
将来はアカデミアで研究を続けたいと考えています。研究を通じてオジギソウを好きになってくれる人が増えることが,私にとって一番楽しい瞬間だからです。また,地方の課題も解決していきたいと思っています。私が住む長野県のような地方では,研究に必要なリソースが少なかったり,首都圏のプログラムに参加できないことがあります。そのため,ADvance Labのような全国どこからでも参加できるコミュニティを活用しながら,地方の中高生にも研究の楽しさを伝えていきたいと考えています。中高生は研究の社会的な 意義をあまり考えず,自分の「好き」を追求できる特権のある時期だと思います。まずは,自分の好奇心を大切にしてほしいです。そして,外へ出ていろいろな刺激を受けることが大事です。私自身,その過程を経て研究の楽しさを知りました。皆さんも,ぜひ一歩踏み出してみてください!
(文・ADvance Lab 笠井 凜心)