INTERVIEW

次世代が世界を変える研究を取り組める研究所を目指して

所長 大城 彩奈

 

ADvance Labの設立メンバーであり、所長の大城さん。中高時代からタンパク質を活用した生分解性プラスチックの開発や海外の学生との共同研究などを続け、QOL(生活の質)向上のための研究に打ち込んできました。そんな彼女のこれまでの研究と今後ADvance Labで取り組んでいきたいことを聞きました。

 

研究に興味を持ったきっかけは何でしたか?

初めて研究と触れたのは、科学研究サークルに参加した中学1年生のときでした。入ったばかりの頃は研究と言っても何をすれば良いのか分かりませんでしたが、先輩の真似をして粘菌を育てることから始めてみました。粘菌を育てるのには手間がかかります。よく移動するのでタッパーや寒天培地に入れておいても放っておくとすぐに逃げ出して死んでしまいます。そのため、日々研究場所に足を運んで観察するという研究の習慣が付き、次第に研究にのめり込んでいきました。

 

どんな研究をしてきましたか?

中学2年生のときに生分解性プラスチックの研究を始めたきっかけは、育てていた粘菌が全滅したことでした。粘菌は新しく手に入れるのが困難なので、他に身近な菌がないか探していたところ、納豆菌に辿り着きました。調べたところ納豆のネバネバは混ぜる回数によって成分が変わることが分かり、この面白さにとりつかれてネバネバ成分を使った生分解性プラスチックの研究をスタートさせました。ここで、ネバネバ成分の研究を深めることにとどまらず、生分解性プラスチックという実用的な材料に発展させたことには理由があります。元々、人々のQOLを向上させるようなモノや価値を作ることに興味があったので、人の役に立つものづくりをしたいという思いが根本にありました。この思いを胸に、高校2年生のときに新たに始めた研究が血糖測定センサーの開発です。親族に糖尿病患者がいたことから毎日血をとる痛みを感じずに使えるセンサの開発に思い至りました。血液と唾液のグルコースに相関があることを論文で読んでからは、生物発光タンパク質を使って唾液から血糖を測定する方法を探ってきました。

ADvance Labではどんなことをやっていきたいですか?

もちろんまずは自分の研究をADvance Labで深めていけたらと思っています。現在興味を持っているのはかゆみの数値化です。これはかなり難しいテーマだと言われていますが、研究環境が整い、専門家の先生方とも連携できるADvance Labでなら達成できると信じています。そしてもう1つは研究文化の醸成をしていきたいです。私自身、中学生の頃から研究をすることで身近な研究の面白さに気づき、いつの間にか研究が生活の一部のようになっていました。研究をすることで世界が広がります。この研究の魅力を多くの子どもたちに伝えながら、好きを究められるADvance Labという環境を作っていきたいです。

タンパク質型グルコースセンサーの実験

(文・ADvance Lab 立崎 乃衣)