INTERVIEW

カイコ愛が,未来を染める

アグリ部門 佐々木 彩乃

 「カイコってかわいい!」そんな純粋な生き物への愛を原点に研究に取り組む香蘭女学校高等科の佐々木彩乃さん。数々のコンテストでの受賞など,今では専門家も注目する成果をあげています。そんな佐々木さんの研究の歩みと情熱にせまりました。

■ 研究を始めたきっかけを教えてください

 もともと生き物が大好きで,中学生のときに偶然見つけたブログがきっかけでカイコに興味を持ちました。「エサに色素を混ぜるとカラフルな繭<ルビ:まゆ>ができる」という話が本当か知りたくて,すぐに実験を始めたんです。カラフルな繭をつくれることが「おもしろい!」と感じて夢中になるうちに,カイコの中で色素がどう運ばれるのか,その輸送経路を解明する本格的な研究へと発展していきました。はじめは単純な好奇心でしたが,その「なぜ?」を突き詰めるおもしろさが,今の私の原動力になっています。

■ どのように研究を進めてきましたか?

 最初は,エサに色素を混ぜて与えるというシンプルな実験でした。しかし,仮説とは違う結果の連続でした。たとえば,私は「デキストリン」という物質は着色を助けると考えていました。ところが実験の結果,逆に着色を阻害するという予想外の現象が確認されたのです。

もちろん,最初は「あれ,仮説と違うぞ」と戸惑いました。しかし,その予想外の結果こそ,まだ誰も知らないカイコの性質を示しているのかもしれない。そう気づいたとき,がっかりする気持ちはすぐに「なぜだろう?」という探究心に変わりました。それは失敗ではなく,未知の現象へと続く新しい扉が開いた瞬間だったと感じます。

その「なぜ?」を解明するため,現在はカイコの体内での色素の動きを追いかけています。色素の化学的性質で輸送経路が違うのでは? 未知のタンパク質が関係しているのでは? と仮説を立てては地道な観察を続けています。自宅での研究は,繊細<ルビ:せんさい>なカイコの体調管理など困難も多いですが,生物学と化学,両方の視点から粘り強くなぞにせまっていく過程が,この研究の一番の魅力です。

■ これからの目標は何ですか?

将来的には,この研究をさらに深め,染色工程をなくした環境にやさしい絹糸や,医薬品成分を含んだ高機能なバイオ素材の開発につなげていきたいです。科学の力で,人々の生活や社会に貢献することが大きな目標です。

(文・ADvance Lab 小松 和滉)