INTERVIEW

「笑顔で世界をひとつに」 祖母との約束から始まった 研究の旅

バイオ部門 姉川唯

 

「笑顔で世界をひとつに」。そう語る姉川唯さんの探究の原点は,おばあちゃんの温もりにありました。リバネスが主催するNESTプロジェクトで培った科学への好奇心と,ADvance Lab1期生としての確かな分析力。「笑顔」を数値化する彼女の挑戦の軌跡と,次世代への熱いメッセージを聞きました。

 

研究を始めたきっかけは何でしたか?

 小学校高学年の頃,リバネスの研究者育成企画「NESTプロジェクト」に参加したことをきっかけに,実験や研究をすることが好きになりました。しかし,その研究を続けるきっかけをくれたのは,大好きなおばあちゃんです。幼稚園の頃から,おばあちゃんには「笑顔でいれば,何でもできるよ」とずっと言われて育ちました。おばあちゃんは小さい頃に親を亡くして,苦労しながらも家族を支える「お母さん役」をずっと務めてきた人です。そんな彼女が言う「笑顔が大切」という言葉には,誰の言葉よりも重みがありました。高校2年生のとき,自分の研究テーマを決める際に,最初に思い浮かんだのはおばあちゃんのその教えでした。だからこそ,私も笑顔を絶やさず,周りの人の居場所をつくれるような存在になりたいという想いが,現在の笑顔の研究につながっています。

 

どのような研究をしてきましたか?

 私は「笑顔」という目に見えない幸せのかたちを,客観的なデータで解き明かす研究に取り組んでいます。高校2年生から始めたこの研究では,プログラミング言語のRを使い,笑い声の周波数を解析することに挑戦してきました。一番難しかったことは,「自然な笑い声」をデータとして集めることでした。ひとりで笑ってもらうとどうしても不自然になってしまい,とはいえ大勢が集まる場所では,特定の笑い声だけを抽出して解析するのがとても困難でした。本物の笑いとそうでないものの違いをどう見極めるか,理想と現実のデータの差に何度も頭を悩ませました。そこで,笑い声は普段の声よりも高くなるという特徴に着目し,その高さや質をくわしく調べることで,そのコミュニティがどれくらいよい雰囲気なのかを「数値化」できるのではないかという仮説を立てました。この探究を通じてデータの分析力の重要性に気づき,大学進学ではデータサイエンスを専攻する大きなきっかけにもなりました。今後は,日々新たな技術を習得し続け,笑い声の分類や絵文字的な可視化を通して集団の雰囲気を数値化し,どうすればその場の雰囲気をより良くできるのか,企業やコミュニティの活性化に役立てたい考えています。

 

今後どのような社会をつくっていきたいですか?

 まず,すべての人に還るべきコミュニティをつくりたいです。私自身,高校生の頃に周囲の大人の方々との対話を通じて研究への興味を後押ししてもらい,その経験が現在の自己形成につながっています。さらに,留学や未経験のスポーツなど,興味の向くままに多くのことに挑戦してきた経験も,今の私を支える大きな基盤となっています。だからこそ,これまで受け取ってきた恩恵を次の世代へとつなぎ,すべての人が笑顔になれる場所を提供していきたいと考えています。

 

(文・株式会社LINOA 白鳥 愛麗)